舞い降りた鳥

2022年04月22日

創作をすこし

お休みしようとおもった。

昨夜は

ひどい雨だった。

明かりを消し闇の向こう

雨のたたきつける音をきいていた。

木の根がくろい土から

水と栄養とを吸いあげるように、

わたしもまた

先人の思想から本でもって

愛や自由について吸収しようとしたけれど、

なかなかうまく考えがまとまらなかった。

寝苦しい夜が明けて

眩しさがあたりをおおった。

晴れわたった空のした

タンポポがひとつ咲いている。

カメは気持ちよさげに甲羅干ししている。

暖かい今日だったら

食べるだろう。

新緑が庭にあふれるいま、

カメの食欲もすこしだけ盛り返してきている。

ベビーホタテをもっていって、

水換えのあとで歌をうたいながら与えると、

貝柱の部分をぜんぶ食べた。

おまえはえらい子だねと

盛大にほめてやり

夕方、ふたたび庭に出たとき

ふとわたしはあんずの木の新緑を見上げた。

眩しい生命力をたたえた庭。

ひとが他者をひつようとするのはきっと、

確かな手触りが欲しいからだ。

言葉は心地良い雨。

貴方のくれたそれが、わたしのすみずみまで行きわたる。

自己の存在を疑いがちなわたしにとって

貴方の存在はかけがえがない。

そのとき小鳥が空から舞い降りて

となりの庭のひくい木に止まったのだった。

そして、垣根のところに移ったとおもうと、さらに降りてきて

わたしの家の庭に降り立ったのだった。

ときどき、天使のように鳥たちはわたしの庭に降りてくる。

鳥は、立ち止まっては土のなかから何かをついばんで、また少しあるく。

それをくりかえす。

わたしは貴方が羽根をやすめるための

みどりの庭でありたい、などと考えてみた。